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10年目のバカンス

 投稿者:園主  投稿日:2009年 3月 4日(水)20時08分46秒
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  みなさま、ここ「花園」の補強整備に関して、何の進展も見ないままに3月となってしまいました。まことに申し訳ございません。
この文章も携帯で書いており、ひととおり書き上げた後、パソコンに転送し、仕上げをほどこした後にアップするという手順でございます。


このところの私でございますが、車を運転して出かける時間が増えたとはいうものの、それ以外は以前と変わらず、ぼちぼち本を読み、映画を観るなどしております。ですから、文章を書こうと思えば、ネタがないというわけでもないのでございますが、本を読んだり映画を観たりして、そこから何かを得、なにかしら自身が高められたと感じられれば、それだけで満足し、それ以上あえて何かを書きたいという気持ちにまではならないのでございます。つまり、現在の私には、知的欲求は変わらずあっても、表現欲求が乏しいのでございますね。またそんなわけで、私にとりましては「表現ツール」以外の何物でもないパソコンの整備作業が、なかなか進まないのでございます。

たとえば、例の田母神 元幕僚長が、見るからに頭の悪そうな本を出して調子こいている様子や、たびたび新聞・テレビに話題を提供している阿呆内閣の行状にも、日本人として当然の忸怩たる思いを抱いてはおりますものの、それをわざわざ語るのも馬鹿馬鹿しいという気分でなのでございます。
昨日、山下和美の新刊『天才柳沢教授の生活』第27巻と、買い逃していた『不思議な少年』の第7巻を買い、先ほどこの2冊を読了いたしました。今回はどちらも全体に楽しめましたが、どちらかと言えば、苦みのつよい『不思議な少年』のエピソードのほうが、今の私には強く訴えたようでございます。不思議な少年のしばしば口にする「人間ってやつは……」というため息にも似た言葉は、今の私にとりわけ馴染むものなのでございます。ですから今の私は、さながら不思議な少年のごとく、眉をひそめ、一歩ひいた位置で人間を眺めております。

『不思議な少年』第7巻の掉尾に収録された第29話「ヨコハマ・リリィ」
――戦後の焼け跡に立つ、お姫様に憧れる変り者の少女娼婦リリィは、進駐軍米兵の姿で現れた不思議な少年を、待ち続けた「私の王子様」として恋しますが、やがて不思議な少年が、永遠にみつからないであろうものを探し続ける旅人であることを直感して、自分と結婚することでその旅を終わらせようと持ちかけます。しかし、不思議な少年は、その申し出を断ったうえで「でも、いつか…、またここに戻ってくる」と約して旅立ち、以降リリィは、不思議な少年の帰還を待って、その場所で街に立ち続けました。そして、老婆になったリリィの前に、とうとう不思議な少年は帰ってまいります。


 リリィ   「捜しつづけていたものは、やはりみつからなかったでしょう?」
 不思議な少年「(※ 僕があの米兵だと)気づいていたんだね」
 リリィ   「いくら年格好を変えても駄目よ。だって…瞳が同じだもの。
        何十年も待ちつづけているうちに段々わかってきたの。
        あなたは永遠の旅人だってこと。
        そして…、あなたはみつからなくても、永遠に捜しつづける人だわ。
        ―― 行きなさい。」


リリィは、不思議な少年が再会をさんざ躊躇したあげくに意を決して姿を見せたのだということを、察していたのでございます。
不思議な少年は、戦後の焼け跡で再会を約した際、別れ際に託されていたリリィの大切なオルゴールを返すと、ふたたび時空の彼方へと旅立っていきます。そして残されたリリィのほうは、オルゴールの懐かしい音色にしばし耳を傾けたあと――。


  「さてと、元気出して行こうかね…。あの人と違って、私にはゴールがあるんだから!」


そう独りごちて、元気に歩みはじめるのでした。


――ですから私も、いつまでも不思議な少年を気取ってはいられません。しばらく静養させていただいたあとは、また元気出して行かなければならないのでございます。





 KeenJr.@時雨詩亜さま

こんにちは、はじめまして

こちらでは、初めまして。「アレクセイの花園」へ、ようこそおいで下さいました。

まずは、ご挨拶の遅れましたことをお詫びさせて下さいまし。そして、これに懲りず、末長くおつきあいいただければ、幸いと存じます。
言うまでもございませんが、親子二代に渡ってこの掲示板をご利用ご愛顧いただけますことは、私にとって何よりもうれしく誇らしい、管理人冥利に尽きることなのでございます。


さて、ご投稿いただきましたショートストーリーでございますが、まず言えることは、中学生になられたばかりの方の御作にしては、大変達者な文章だということでございます。少なくとも、お母上が、ここ「花園」でのリレー小説に参加して、最初に書いて下さった時よりも、お上手なのではないかと存じます(笑)。

じつは私、一年ほど前から東京在住の中学生男子と、月に一度ていどのペースでメールのやりとりをしております。彼も、とうてい中学生とは思えない達者な文章を書く、とても頭のよい方なのですが、「アレクセイの花園」でおおっぴらにやりとりをする覚悟はまだ持てないとのことですので、個人的にメールをやりとりすることになりました。
彼はすでに『虚無への供物』や『匣の中の失落』を読んで、気に入ってくれておりますし、舞城王太郎はお気に入り作家でございます。今は、中井英夫の短編集『幻戯』を楽しみつつ『トグラ・マグラ』に挑戦しておられます(笑)。
中学生が、少ないお小遣いのなかからこうした本を購入し、読んで下さるというそれだけでも十分にありがたいことなのに、そのうえ的を射た感想を聞かせて下さるのですから、こんなにうれしいことはございません。素直な向上心を持つ若者に接することができるというのは、まさしく天佑とでも呼ぶべきものでございましょう。

同様、時雨さまのショートストーリーも、たいへん楽しく興味深く拝読いたしました。全体に、夢独特の不思議な非現実感や不連続性が、うまく表現できていると存じます。これはたぶん、変に辻褄をあわせようせず粉飾をほどこさず、素直に夢を文章に移そうとなさったからでございましょう。むろん、それ自体、決して容易なことではないのでございます。

それにしても、特に素晴らしかったのは「口紅のケースに差し込まれていた親指」のイメージでございます。
小説にするならば、指は人差し指で、蓋を開けると爪先がこちらを向いていなければならない、といったこともございましょうが、ともあれ、口紅のケースに指が刺さっているというイメージは(前例の有無まではわかりませんが)、ミステリ作家や幻想小説家なら、きっと使ってみたいイメージなのではないかと思いました。また、そう思わせるだけでも大したものでございましょう(私は、麻耶雄高のデビュー作『翼ある闇』に登場する、切断された足首の入った一足の靴を連想いたしましたが、イメージの洗練度では、指の差し込まれた口紅ケースの方が上でございましょう)。


今後も、内容にこだわらず、あれこれお書き込みをいただければ、幸いと存じます。以後おつきあいの程、よろしくお願い申し上げます。



 Keenさま

自子紹介

Keenさまの子煩悩ぶりが窺われるフォローでございましたね(笑)。

それにしても、子供の成長というのは感動的でございます。独身の私に自分の子供はおりませんが、だからこそディスコ・ウェンズデーの気持ちが、少しはわかるような気がいたしました。

それから、Keenさまにお願いでございますが、詩亜さまには(マンガも含めて)良い本をたくさん与えてあげて下さいまし。特に今回のオススメは、前説でふれましたご存知 山下和美の傑作シリーズ『天才柳沢教授の生活』と『不思議な少年』。
若い詩亜さまには渋すぎて、ちょっと難しいところもあるかも知れませんが、いずれ数年中には読むべき本だと存じます。


ともあれ、Keenさまからも詩亜さまに、肩肘張ることなく気楽にお書き込みいただきますよう、「花園」の先輩としてご助言いただければと存じます。



 さま

星を見ないで地べたを生きる。

上のお書き込みにつきましては、メールでのレスに書かせていただきましたとおりで、人間には何かをなさねばならないという義務はありませんし、成人君子になる必要もございます。また、ゲバラやヴェイユのような非凡な人間にならなければならないというようなことも無いのございます。
自分の人生を誠実に生きられればそれで十分であり、そのうえで、他人を喜ばせることができたり社会に貢献したりすることができれば、それは幸運なことであり喜びなのでございます。ですから、あまり欲張ったり焦ったりして、自分で墓穴を掘らないようにして下さいましよ(笑)。

淳さまには、『不思議な少年』第7巻収録、第27話「ペーター・ユルゲン」をオススメしたいと存じます。


闇の終わり

さて、職業訓練学校でコンピュータ・プログラミングを勉強なさるのでございますね。

すでにオジサンの域に達しつつある方には、なかなか大変な勉強かと存じますが、「アレクセイの花園」の技術顧問になって、まずは私に貢献できるようになって下さいまし。世間一般への貢献は、そのハードルを越えてからでもよろしかろうかと存じます(笑)。



 ホランド

――というわけで、もうしばらくは羽を伸ばしてもらって結構だ。「アレクセイの花園」の本格的再開を心待ちにして下さっている方には申し訳ないんだけれど、この際、10年目の浮気…じゃなくて、10年目のバカンスということで、いましばらくは見逃してもらおうじゃないか(笑)。





それではみなさま、おやすみなさいまし。

http://homepage2.nifty.com/aleksey/LIBRA/index.htm

 
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