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★ みなさま
本日は、たいへん素晴らしい小説をお薦めしょうと存じます。それは、以前、その年の話題作であった『家守綺譚』(新潮文庫)を絶賛させていただいた、梨木香歩の新刊『f植物園の巣穴』(朝日新聞出版)でございます。
本作『f植物園の巣穴』は、夏目漱石の『夢十夜』や内田百間の『冥土』などの夢文学に直接的に連なる、正統派の日本の幻想小説でございます。『家守綺譚』が、私にとってはオールタイムベスト級の傑作でしたので、『f植物園の巣穴』もその装丁の類似性から、同種の幻想小説であると予想し相当の期待を寄せていたのでございますが、とは言え正直なところ、『家守綺譚』を超えるほどのものまでは期待しておりませんでした。ところが、あにはからんや『f植物園の巣穴』は、『家守綺譚』に優るとも劣らない、期待以上の傑作だったのでございます。
あえて注文をつけますならば、幻想小説としては、あまりにまとまり過ぎ、やや理に落ちたのではないかと思える点で、それほど完成度は高く、最後は収まるべきところにすべてが収まり、およそ過剰性や余剰というものが無いというのが、難点と言えば難点なのでございます(一方、『家守綺譚』にあったBLの「今風」が無く、やや「大人向け」になっている点は、私にとっては、プラス材料でございました)。
ともあれ、私の本年のベスト1小説は、これで決まりだと存じます。
みなさまにもお楽しみいただけば、これにすぐる喜びはございません。
では、本日はこれにて失礼いたします。
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